ヴィクトリア朝TIPS:スラム

・もしこの町で夜歩きするなら、死を覚悟したまえ。外で夕食をとるなら、その前に遺書を書きたまえ。
――サミュエル・ジョンソンの詩『ロンドン』の一節
・イースト・エンドの貧民街について、ディケンズはこう書いている。「糞尿、泥水、売春婦、泥棒、牡蠣、焼きジャガイモ、鮭の酢漬けのたまり場」
・「セント=ジャイルズ教区の中は、臭気が強くて今にも窒息しそうな気がした。呼吸のための空気は不足し、歩きまわるのに必要な明るさも欠けていた。この街の憐れな住民は、ぼろを洗って、路地の上に渡した竿に干すのだが、その結果、空気も日光も完全に遮断されてしまうのである」
・「煙の雲がいつまでも漂い、青白い顔の人々が溢れ、高い煙突がそびえ、灰の山には燃え残りの石炭を拾うため薄汚れた子どもたちが群がり、不潔な路地や袋孤児は半分屋根の飛んだ家が並び、その間をドス黒い川が流れています」
・年収60ポンド前後の家庭にあっては、バター付パンとベーコンと紅茶というのがウィークデイの標準的な食事で、わずか日曜日だけ、例えば豚肉と玉葱とジャガイモとヨークシャー・プディングという贅沢なメニューを味会うことができた
・窓税が課せられた。換気のために壁に開けた穴まで一つの窓として数えられるので、とりわけ貧乏人は暗い家のなかで暮らさざるを得なかった。
・朝日が昇る時間が近づくと街路が白ばみ、晴れ渡った空に教会の尖塔や屋根の輪郭がクッキリ浮かびあがる。この光景は早朝にしか見ることができない。一日が始まれば何百万本もの煙突から立ちのぼる煙がロンドンの街を覆ってしまうからだ。やがて垢まみれの下層民たちがゆっくりとした足取りで街中に現れる。汗脂の染みたずた袋を背負い、ごみの山を一つ一つあさり、ごみに出された骨やぽつんと一枚だけ落ちているぼろきれや古い鉄くずを探し求めて何とか食いつないでいるのだ。また、職場に向かう途中に、町角で早朝から朝食を出す露店の周りに集まり、湯気が昇るカップの受け皿をフーフーと吹きながらコーヒーを飲んでいる者もいる。
・売春婦:大部分の女はみじめな境遇にある。遊郭に縛りつけられて監視付出ないと外出もできない者。スラム街の安下宿に一人暮らしで、街頭や公園で細々と稼がねばならぬ者。

 

 

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