ヴィクトリア朝TIPS:精神病院

・「夜は熟睡できない。すぐに目が覚めてしまう。理由は幾つもあるのだが、まず何よりも睡眠の妨げとなるのは、虱や蚤などの害虫の恐怖だ。病棟にはこれらの害虫類が、それこそ一日じゅう元気いっぱいに飛びまわっているのである。この新しい監房に入った最初の夜、私は寝入る間もなく、がさがさという奇怪な音に悩まされた。ゴキブリが何匹も這い回っているのだと、すぐに気づいた。そのうち一匹は、顔のすぐ脇をすばしこく駆け抜けていったりした。無理も無い。私のベッドは、床からほんの10センチかそこらの高さしかないのだから」
・精神病患者の暗い監房:悲哀に満ちた声を一晩中あげ続けている。彼らはもはや、監房の壁に向かって一人でブツブツ呟く以外、何もできなくなっているのである。皇太子や国王について、いつまでも長々と喋り続けている。頭の中では監房が大演習場らしく「前身、右向け、右!」と、一人でかけ声をあげ続けている。
・当時の医師の証言:「患者を監禁していたが、治療はしていなかった」
・患者が多すぎた事も一因。
・自らの排泄物を垂れ流す。
・患者にとっては、生活は快適とはほど遠いものであった。運動のための閉ざされた中庭があるだけの閉鎖病棟に監禁されているのだから。
・病棟や廊下の装飾は、暗いチョコレート色と油性の緑色のバリエーションに限られていた。

 

 

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